お寺の基礎補強|床下の施工事例と補修の方法
お寺の建物も、床下にコンクリートの基礎があれば、住宅と同じ方法で基礎を補強できます。一心建設では寺院の床下で、ひび割れや欠けを埋めたうえでアラミド繊維シートを貼り、樹脂で仕上げる補強を行いました。文化財に指定・登録された建物は、工事の前に自治体への相談や届出が必要になる場合があります。
この記事は、JSHI公認ホームインスペクターが在籍する一心建設が、寺院での施工事例をもとにまとめています。

お寺の建物にも、補修が必要なコンクリートがある
お寺の境内には、建てられた時代も構造も違う建物が並んでいます。古い本堂には、礎石の上に柱を立てる「石場建て」の建物もあり、その場合は住宅のようなコンクリートの基礎がありません。
一方で、昭和以降に建て替えや増築をした本堂・庫裏・客殿・会館・納骨堂などは、コンクリートの基礎の上に建っていることが多くあります。こうした基礎は、住宅と同じようにひび割れや欠け、鉄筋の錆による劣化が進みます。
| 場所 | よくある傷み |
|---|---|
| 本堂・庫裏・会館の基礎 | ひび割れ、表面の欠けや剥がれ、換気口まわりの割れ |
| 納骨堂・倉庫などのコンクリート造の建物 | 床や壁のひび割れ、鉄筋の錆による爆裂 |
| 境内の擁壁 | ひび割れ、表面の欠け、水のしみ出し |
| 参道・駐車場の土間コンクリート | 車の重みや温度変化によるひび割れ |
| 石場建ての本堂の床下 | 湿気による木材の傷み、束石まわりの沈み |
住宅より傷みに気づきにくい理由
お寺の建物は、住宅に比べて床下が広く、人が入らない場所が多いのが特徴です。床下の風通しが悪いと湿気がこもり、木材の腐れやシロアリ、コンクリートの劣化が気づかれないまま進みます。
境内は木々に囲まれていることが多く、日陰で地面が乾きにくい環境でもあります。一心建設のサイトでも、コンクリートの寿命は30〜40年といわれる一方、湿気が多い環境では15〜20年ほどで劣化することもあると説明しています。

施工事例:寺院の床下の基礎補強
一心建設が寺院の建物で行った、床下の基礎補強の事例です。床下に入り、基礎の立ち上がり(地面から上に出ている部分)の内側を補強しました。

施工前:表面の欠けやひび割れが目立つ基礎
施工前の基礎は、表面の汚れや欠け、細かなひび割れが目立つ状態でした。床下は暗く狭いため、普段の生活ではまず目に入らない場所です。
工事の流れ
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 下地処理 | ひび割れや欠けを埋めて、表面を平らに整える |
| プライマー | シートがコンクリートによく付くよう、下塗りをする |
| 繊維シートの貼り付け | アラミド繊維シートを、補強用の樹脂で基礎に貼る |
| 仕上げ | 樹脂を塗り重ねて、シートを覆い表面を保護する |
材料は、アラミド繊維シートと専用の樹脂を組み合わせた「ソリッドリメイン」です。高速道路や橋脚などの公共工事で使われている繊維補強の技術を、建物の基礎に応用しています。




角の部分もシートを折り返して連続して貼り、継ぎ目ができにくいようにしています。
施工前と施工後
同じ面の施工前と施工後です。表面の欠けや汚れが見えていた基礎が、繊維シートと樹脂で覆われています。


ほかの事例は施工実績の一覧で紹介しています。
補修の方法|埋める補修と、繊維シートで包む補強

お寺の建物の基礎も、補修の考え方は住宅と同じです。細いひび割れは樹脂などで埋め、幅0.3mm以上のひび割れや本数が多い場合は、繊維シートで包んで強さを取り戻します。
ひび割れ幅の目安は、国土交通省の技術的基準で、0.3mm以上0.5mm未満は構造上の不具合の可能性が「一定程度」、0.5mm以上や錆汁を伴うものは「高い」と整理されています(国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」)。測り方は「家の基礎のひび割れは危険?幅0.3mmが目安の見分け方」で解説しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工法 | ソリッドリメイン+NEWタフロンのハイブリッド工法 |
| 対応できる場所 | 基礎のコンクリート、屋内外の構造物、駐車場・外構 |
| 工事の進め方 | 既存のコンクリートを壊さずに補強するため、作り直しに比べて工期と費用を抑えられる |
| 保証 | 施工後10年保証 |
既存の基礎を壊さないので、建物を使いながら床下だけで作業を進められます。法要や行事の多いお寺でも、日程を組みやすい方法です。費用の考え方は「基礎のひび割れ補修の費用相場」をご覧ください。
文化財に指定されている建物は、先に手続きを確認
建物や場所が国や自治体の文化財に指定・登録されている場合は、修理の前に手続きが必要になることがあります。
たとえば埼玉県の県指定文化財では、有形文化財の修理は30日前までに届出、現状を変える工事は30日前までに許可申請が必要で、市町村の文化財保護担当を通じて手続きします(埼玉県「県指定文化財に関する手続について」)。国指定の文化財や、城跡の石垣のような史跡も、別に定められた手続きがあります。
手続きの内容は、文化財の種類や指定した自治体によって違います。工事を考え始めた段階で、お寺のある市町村の文化財担当に相談してください。指定を受けていない本堂や庫裏、会館の基礎は、住宅と同じように補修を進められます。
点検から工事までの流れ

- お問い合わせ(電話・LINE・フォーム。傷んだ箇所の写真を送るだけでも可)
- 現地での点検(基礎・床下・擁壁などの状態を確認)
- 点検結果のご報告とお見積もり
- 文化財に関わる場合は、所管の窓口への相談・手続き
- 施工(自社の職人が担当)
- 施工報告書のお渡し(施工前・施工後の写真付き)
床下の工事は、終わってしまうと中の様子が見えません。一心建設では工程ごとに写真で記録し、施工報告書としてお渡ししています。檀家さんや役員会へのご説明にも使えます。

よくある質問
Q. お寺の本堂の基礎も補強できますか?
A. 床下にコンクリートの基礎がある建物であれば、住宅と同じように繊維シートで補強できます。一心建設でも、寺院の床下で基礎を補強した事例があります。礎石の上に柱を立てる石場建ての建物は、まず床下と束石まわりの状態を点検してから方法を考えます。
Q. 工事中も本堂を使えますか?
A. 作業は床下で行い、既存の基礎を壊さないため、建物を使いながら工事を進められる場合が多いです。法要や行事の予定は、点検とお見積もりの段階でお知らせください。
Q. 文化財に指定されている建物でも工事を頼めますか?
A. 指定の種類によって、工事の前に届出や許可が必要です。まずはお寺のある市町村の文化財担当に相談し、手続きの内容を確認してください。
Q. 境内の擁壁や駐車場のひび割れも対応できますか?
A. はい。一心建設のハイブリッド工法は、建物の基礎だけでなく、擁壁や駐車場・外構のコンクリートにも施工できます。
まとめ:お寺の基礎も、床下から補強できる
お寺の建物は床下が広く、人の目が届きにくいぶん、傷みに気づくのが遅れがちです。コンクリートの基礎がある建物なら、既存の基礎を壊さずに、床下から繊維シートで補強できます。文化財に指定された建物は、工事の前に自治体の文化財担当に相談してください。
傷んだ箇所の写真をLINEで送るだけのご相談、お電話(0120-42-7266/9:00〜18:00・月火休)、またはこのページ下部のフォームからご相談ください。









